神学生沖縄体験記(1) 沖縄へのはじめての旅

グエン ヴァン トァン SJ
イエズス会神学生(日本管区)

  日本語学校に通っていた頃、一つの思い出があります。初級クラスで自己紹介の会話の練習をした際に、「わたくしはベトナムから参りましたトアンと思います」と言ったところ、先生と同級生皆に大笑いされてしまいました。そのときには本当に恥ずかしい思いをしました。

  間違った日本語だということは皆さんにもわかると思いますが、なぜこのことをこの場で分かち合ったのかというと、最近沖縄に行ったときに、2007年に沖縄で「あなたは自分のことを日本人だと思いますか」と問う調査があったということを聞いてびっくりしたからです。この調査では、「沖縄人だと思う人は42%、日本人だと思う人は26%、そして沖縄人であり日本人という答えは30%」であったようです。調査の結果にかかわらず、私にとっては、同じ日本人なのに、こういう質問を日本で行ったこと自体が本当に差別だと思いました。沖縄は日本の国民であり、日本の兄弟姉妹であるともしも思っていたら、このような調査は行わないはずです。
 

  この旅において、日本という国の中には「植民地」があるかのように見えました。1945年に米国との戦争は終わりましたが、沖縄は1972年まで、まだ米国によって支配されていました。戦争が終わってもまだ戦争のような状態が続いている沖縄人が、本当にかわいそうに見えるのです。自分たちは平和を愛しているのに、自分たちの地域である沖縄は、ベトナム戦争の出撃基地となりました。何らかの戦争の道具と思われた沖縄人にとっては、苦しいことだったと思います。そして、沖縄が日本に復帰してもなお、米国の基地はまだいっぱいあります。自分たちの土地なのに、自分たちはそれを守ることができません。

  平和の尊さを求める沖縄人は今、辺野古への新基地建設に何らかの反対の声を示しているのです。そのため、辺野古の新基地建設ゲート前に、新基地建設に反対の人が、反対の声を上げながら、ずっと座り込みをし続けています。この座り込みに参加する人々の姿を見た私は、「平和への唯一の道は平和である」、「非暴力は人間に与えられた最大の武器であり、人間が発明した最強の武器よりも強い力を持つ」というマハトマ・ガンジーの言葉を思い浮かべました。

  小さな私は何もできないのですが、沖縄における戦争で犠牲になった20万人余のために祈り、さらに今、沖縄での様々な問題に苦しむ人々のために祈りたいと思います。

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