ミッション・ステートメント

「信仰に基づく社会正義と和解の促進」

■イエズス会社会司牧センターとは?

 カトリック教会およびイエズス会の内と外に向けて、社会使徒職についての情報と協働を結びつけるコミュニケーションとネットワークづくりのセンターとしての役割をめざします。
 教会の社会使徒職とは、社会の現実のただ中で、イエス・キリストが求めた「神の国」、すなわちいつくしみとゆるしに基づく共同体、多様性を認め合う共生社会の実現を人々と共にめざすことです。
 現代のカトリック教会は、とりわけ人間と「神とのかかわり」「隣人とのかかわり」「大地とのかかわり」および「自己自身のかかわり」という全方位的な「和解」における「人間の総合的な発展(Integral Human Development)」を強調します。
 イエズス会社会司牧センターは、こうした理念の実現に向けて、教会内外のさまざまな組織、グループ、イエズス会をはじめとする修道会、市民運動などとかかわりつつ、キリスト教信仰と社会を結ぶ分析と研究、啓蒙(セミナー開催や出版)、実践の諸活動に取り組みます。

■イエズス会社会司牧センターの特徴

①「社会正義」と“Option for the Poor(立場の弱い人々との優先的連帯)”、すなわち排除される人々の側に立ちます。
 現代日本にただよう社会意識の減退や「政治アレルギー」、人々が自分の世界やその問題に閉じこもる風潮に対して、状況に応じつつ「信仰に基づく正義の促進」への姿勢をはっきりと示します。
 とりわけ、現代の民族大移動ともいいうる難民の人々、「貧困」に追いつめられる子どもや学生、ワーキングプアに苦しみ日本社会の周辺に追いやられた人々の労働・医療・人権などの問題に取り組みます。
 また、一部の持てる者たちの利益のために多くの人々が支配される経済成長至上の反福音的グローバル化やナショナリズムの渦とその結果であるテロや治安強化、社会全体の軍事化、言葉と思考の自由の制限などに対して、対話とつながり直し・社会的な包摂(Inclusion)・いのちの質(Quolity of Life)のためのアドボカシーを続けます。

②霊的アプローチ
 その際、イエズス会の社会使徒職独自の役割として、聖イグナチオ・デ・ロヨラの『霊操』の精神に基づく意識の糾明、共同識別の方法を強調します。すなわち、社会の動きの奥底にあるものに注意を払いつつ、生きた現実との対話と共感能力を育み、神から引き離す悪を識別する社会的霊性、およびエコロジー霊性を深めます。

③連携とネットワーク
 社会において苦しむ人々の出会いとかかわりの具体的な場となることをめざします。とりわけ青少年、問題意識を共有する市民運動、教会とイエズス会の各使徒職に、社会的次元を意識化するための学習と寄り合いの場を提供します。

 

※補足1.イエズス会の社会使徒職

 現代のイエズス会社会使徒職は、以下の問題を焦点としています。

① グローバル化と周辺化
② 移民・難民
③ 戦争・紛争
④ エコロジー

 またイエズス会日本管区としては、以下の優先課題を、隣り合う東アジア諸国との連携、および他宗教との対話において深めます。

① グローバル化にさらされるアジアの政治・経済的文脈における、格差・暴力・貧困問題に対する正義の促進
② 環境といのちに脅威を及ぼす原発・核兵器・軍産複合体についての倫理的考察
③ 歴史認識と憲法問題への取り組みを通しての平和形成
④ 現代人の生きづらさへの取り組み

 その際、規範・基準となるのは以下の視点です。

① 福音と教皇・司教団の方針
② とりわけ人間の尊厳と人権・平和・環境・生命の倫理に関する第二バチカン公会議とカトリック教会の社会教説
③ 聖イグナチオ・デ・ロヨラのインスピレーション(『イエズス会基本精神綱要』や第32総会「信仰の奉仕と正義の促進」の方針)
④ 「貧しい人々の優先(Option for the Poor)」という近年のカトリック教会の姿勢

 

※補足2.イエズス会社会司牧センターはいかに働くか

 1980年代以来の本センターの設立趣旨を引き継ぎ、市民運動や個人との福音的な協働(collaboration)、社会問題に関する福音的な視点とその分析についての啓蒙を、カトリック教会とイエズス会の国内ネットワーク(下関労働教育センター・釜ヶ崎「旅路の里」)、国際的ネットワーク(JCAP:イエズス会東アジア大洋州地区など)、大学研究所、中学・高等学校、小教区との連携(交流体験・ボランティア活動、出会いの場の提供、ネットワークづくり)のうちで実践します。
 現状においては、イエズス会移民デスクかんぼれん(カンボジアの友と連帯する会)ジャパ・ベトナム、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク、日本カトリック正義と平和協議会(死刑廃止を求める部会・平和のための脱核部会、改憲対策部会)、麹町聖イグナチオ教会足立インターナショナルアカデミーなんみんフォーラム上智大学グローバル・コンサーン研究所上智大学神学部などとの連携を深めています。

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