クリスマスと新年 おめでとうございます!

「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイ5:9)

ボネット ビセンテ SJ
イエズス会社会司牧センタースタッフ

  平和について話す人は多いようです。しかし、特に国々の指導者たちの間で、平和を実現する人は非常に少ない現実は否めません。アフガニスタン、イラク、イスラエルとパレスチナ、シリア等、国家間もしくは国内での紛争や戦争は、絶えることがありません。国連では、平和について色々と語られます。しかし、核兵器の廃絶案について、賛成する国が多いにもかかわらず、核兵器を保有している国々は反対し続けています。

  日本国民は、国際平和を実現するために、国際紛争を解決する手段として、戦争と、武力の行使を、永久に放棄し(日本国憲法第9条)、70年間もその決定を守ってきました。しかし、現政権は、平和について色々と語りながらも、その第9条の解釈を一方的に変更し、安全保障関連法を強行可決してしまいました。それによって、集団的自衛権の行使、武器の輸出などを容認しました。平和を実現する人々は幸いであるならば、まるで正反対に進む現政権の人々は、一体何なのでしょうか?

  与党の反民主主義的な行動にめげることなく、平和の実現を求め続けるために、学者、作家、法律家などを含む多くの国民が立ち上がりました。東京では、国会周辺、官庁街や日比谷公園など、全国では200か所以上で、その法案の廃案を訴え続けました。大学生もまた、個々の大学を越えて、「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」という団体を立ち上げ、デモに参加し、ハンガーストライキなども実施して、同法案に反対の声をあげました。そしてSEALDsの魂(ソウル)を受け継いで発足した「ティーンズ・ソウル(T-ns SOWL)」という高校生のグループも、安保法成立後も、反対のデモを行っています。

  SEALDsの設立者の一人には、彼と家族に対して「殺す」という脅迫状が送りつけられたそうです。平和を実現しようとする人は幸いですが、迫害を受けることもあります。

186_1  クリスマスのメッセージは、こういうときにこそ希望の源となります。そのメッセージとは、神が、他の人を奴隷のように利用し、憎み合い、殺し合う人類のみじめな状況を見て、自ら人間と共に住み(マタイ1:23)、言葉と生き方をもって、赦し合い、助け合い、支え合い、平和に暮らすという人間の本当の姿を現してくださり、人間にとってそれは可能である、というメッセージです。

  クリスマスとは、イエスの誕生を祝って、世界や日本がどんな状況であっても、あきらめずに、希望をもって、平和を実現する人になる決意を新たにし、強くするというときです。

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