「京浜便り(34)」 20周年を迎えた全国キリスト教学校人権教育セミナー 【社会司牧通信151号】

阿部 慶太(フランシスコ会)
 全国のカトリック・プロテスタントの学校関係者や学生が参加し、人権教育を考える「全国キリスト教学校人権教育セミナー(略称「全キリ人権」)」(以下「キリ人権」))は、1989年8月に、大阪で第1回のセミナーを開催してから20周年を迎えました。


 このセミナーは、回を重ねるごとに、性差別、セクシャルマイノリティーなど、時代が要求するテーマを紹介しながら、どのように教育現場でそれを伝えてゆくのかについて、現場での証言や全体会、分科会で意見を交換し、教育現場で「人が大切にされるのというのはどういうことか」をどのように伝えるのかを考える上で、キリスト教学校ばかりでなく一般の教育者にとっても、様々な方法論や新しい視点を与えてきました。


 一見地味ですが、このセミナーが残した業績の中で重要な点は、報告集の発行やニュースレターを通じて、全国の教育現場で、どのような人権教育の実践が行われているのかについて記録を残したことにあると思います。この記録は人権教育の実践記録としての貴重な財産といえます。

 さて、私がはじめて全国キリスト教学校人権教育セミナーに参加したのは、1994年8月に行われた第5回・広島大会でした。
当時、札幌のミッションスクールで、宗教の非常勤講師をしていて、授業でキリスト教の現代的なメッセージをどう伝えるか、という部分で苦慮していたときに、関西の知人から「去年こんなセミナーに出たけど良かったよ」と紹介されて、思い切って参加することにしました。


 現地学習や、開会礼拝、全体集会、発題、分科会、閉会礼拝(新谷のり子氏の歌とお話だった。今なら出来ない企画)、どれをとっても中身の濃い、インパクトのある大会でした。また、全国から集まった参加者、講師、提言者の「熱さ」が今も印象に残っています。こうした、中身の濃さは、20回目を迎えた今も変わっていません。


 また、キリスト教の教派を超えて「人権」という共通のテーマについて取り組むこのセミナーは、エキュメニカルの点でも大きな意味を持った集まりだと思います。共同声明やアピール署名をキリ人権の名前で提出したこともあります。


 今年、20回目を迎えたこのセミナーが、今後も多くの教育者や関係者に新しい発見を与え続ける場であることを願っています
 
 
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