2008年はじめの第35総会以後の、イエズス会社会使徒職の新たな特徴や方針は何でしょう?
第35総会は、神の国の正義や他文化・他宗教との対話に奉仕する信仰を、言葉で宣言し現実に生きる、イエズス会の関与を再確認しています。その意味で、イエズス会の社会使徒職は昔も今も変わらず、イエズス会のカリスマに根ざしています。
ニコラス総長の会談風景
 |
しかし、イエズス会が今日直面しているチャレンジによりよく応えられるよう、社会使徒職や他の使徒職を助ける、いくつかの新しい要素があります。イエズス会のミッションは、全世界をおん父へと和解させるイエス・キリストの救いのみ業に共にあずかることです。貧しい人々と共に、貧しい人々のためにイエズス会が行う具体的な活動は、持てる者と持たざる者との間に橋を架けようという試みとして理解される必要があります。この働きはまた、人間を神や被造物と和解させる使命の一部でなければなりません。そこには、社会使徒職、正義のための働きを、人間同士の関係だけでなく、神との関係や被造物全体との関係にも関わる活動の全体として見ていこうという強い意志があります。イエズス会の正義の推進は、人々(の魂)が本当の自分を見出し、たった一つの地球を大切にする使命を見出すよう助ける働きと、深く結びついています。
|
社会使徒職でも他の使徒職でも、しっかりした基礎を築くことよりも、「ネットワーク」に新しい重点が置かれています。というのも、貧困や失業、暴力といった諸問題は、どれも世界的に広がっているからです。私たちは「ネットワーキング」によってはじめて、これらの問題に対応できるのであり、また、「ネットワーク」は多方面に渡る解決のチャンスを与えてくれるのです。
私は、イエズス会の関心事は、周囲のニーズによって変わると思います。イエズス会にとって真の関心事とは、自分自身の関心事ではなく、この世界の関心事-つまり貧困や失業、暴力、教育です。私は、スペインの「キリスト教と正義」センターが最近出した冊子に書かれている「4つの契約(contract)」に大きな感銘を受けました。それは私たちの取り組みに一つのビジョンを与えてくれます。
1.社会的契約 すべての国家と国民には貧困や失業と闘う義務がある。
2.自然的契約 私たちは消費主義的な生活で自然を損なってきた。もっと簡素に生活する義務がある。
3.文化的契約 誰も教育から排除されてはならない。イエズス会的な意味で「卓越した」学校や、学校教育を補完する教育、国家に義務教育を保証させることなどは、イエズス会にとって非常に重要な優先課題である。
4.倫理的契約 人々をモノではなく人として扱う。道徳的価値や人間性、人生の意味の倫理的再発見。
社会使徒職に取り組む時は、常にこうしたビジョンに基づいて見直しをするとよいでしょう。 |
イエズス会の使徒職全体の中で、社会使徒職に固有のもっとも大事な任務は何でしょう?
前述のような全体的なビジョンに基づいて、社会使徒職はきわめて多様な状況に、具体的な行動で応えます。問題と対処は多種多様ですが、社会使徒職固有の任務は3つに分けられるでしょう。 |