ラテン・アメリカ/新しい政治教育

 ラテン・アメリカ・カリブ海地域のイエズス会管区コーディネーターたちの勧告に従って、社会センターやイエズス会大学のイエズス会員と信徒協力者50人が、9月12~14日にパラグアイのアスンシオンで集まり、「政治と市民権に関する養成コース」のためのガイドラインを含む提案について考察した。これは、ラテン・アメリカ・カリブ海地域における政治危機に応答する率直な取り組みだ。この養成コースは、この地域に可能なオルターナティブな政治世界の実現をめざす、ユートピア的なビジョンに基づく。2006年7月にカラカスで開かれた準備会合で確認された5つのテーマに基づいて、考察が進められた。
 ①政府や政党の弱体化・信用低下と政治・社会危機、②社会の分裂・汚職・暴力・青年の政治的無関心にともなう「公共性」の危機、③排除・表現の自由の危機・公共の財やサービスの私物化といった好ましくない行動の増加、④貧困や不平等、依存、失業、インフォーマル・セクターの増大を引き起こしてきた発展モデルの危機、⑤多文化・多民族社会を築く事の困難さ。この提案は広く受け入れられ、地域の相違を尊重しつつ、より国際的な運動へと発展させていく、新たな試みのはじまりを告げるものとなった。
詳しくは:
Jorge Julio Mejia<jjulio@colomsat.net.co>

ザンビア・カナダ・オーストラリア/エコロジーとイエズス会
ザンビアのカシシ農業訓練センター(KATC)は持続可能な農業を広め、小規模農家向けのさまざまな活動を通して、環境保全に努めている。KATCが最近進めてきた一つのプロジェクトは、持続可能な農業における社会正義と環境正義との密接なつながりを示す、一つのよい例だ。KATCは3年にわたって有機綿を栽培し、小規模農家の有機綿栽培を助け、市場開拓に努めてきた。通常の方法で綿を栽培すると、他の作物より多くの殺虫剤が必要であり、この殺虫剤は農民の健康を損なうだけでなく、自然環境のバランスをも破壊する。KATCでは、綿の間に他の植物を植え、病気を追い払ったり、オトリにしたりすることで、綿の病気を抑えている。
綿を有機栽培する農家は、買い手が高価な値段で買い取ってくれるだけでなく、高い殺虫剤や遺伝子操作した種を買う必要がないので、普通の綿栽培農家にくらべて高い収益を上げている。
Roland Lesseps, SJ, rl@iconnect.zm

イエズス会社会的信仰と正義センターのエコロジー・プロジェクトの有機農園は、カナダのオンタリオ州南部、グェルフ近郊にある。スタッフはコーディネーターのジム・プロフィット(イエズス会)、環境教育コーディネーターのマリアンヌ・カーシュ、研究員のジョン・マッカーシー(イエズス会)だ。他にもパートタイムの事務担当者、司書、開発担当者がいる。私たちの主な活動領域は「霊操」とエコロジカルな霊性、環境教育、持続可能な農業と食糧安全保障、カトリックの社会教説とエコロジー、北方樹林の保全と持続的な管理、気候の変動と水に関する問題などだ。主要な活動は、「霊操」に基づく8日間のエコロジカルな黙想やその他の黙想、著作・講演活動などだ。主要なプロジェクトは北方樹林の土地利用計画、エコロジカルな霊性に基づく黙想、そして、土地に関する人々の霊的な体験をまとめた本と、カトリック教会のエコロジカルな社会教説をまとめた本の準備だ。
John McCarthy SJ. Johnmcsj@aol.com

オーストラリアの社会センター、Uniyaの活動はカトリックの社会教説の諸原理に基づいているが、その一つに「創られたものへの配慮」がある。人間と自然環境の相互依存関係を認識した上で、私たちは持続可能な生活を、活動のビジョンの一つとしてきた。特に近年、気候変動の破壊的効果が、特に貧しい人々に最も大きな影響を及ぼす心配が大きくなってきたことから、私たちは最近、オーストラリアや東南アジア、太平洋地域の気候変動の社会的影響を、プロジェクトの一つに加えることを決め、オーストラリア気候変動行動ネットワークに加盟した。
 私たちは、気候変動の影響について、太平洋諸国の海面上昇による環境難民だけでなく、低地の人口過密都市や農村・漁村への影響についても研究する。オーストラリアや米国政府に対して、温室効果ガス削減のために効果的な政策をとるよう圧力をかけ、気候変動にどう対応すべきかを研究していきたい。
Mark Byrne, mark.byrne@uniya.org