廣崎 隆一(下関・細江教会信徒)
2000年まで、林尚志神父が本紙に連載していた「下関便り」が、6年半ぶりに復活します! タイトルも「下関労働教育センターだより」とあらため、市民活動に活躍している細江教会の信徒、廣崎隆一さんが執筆します。下関からの生き生きとした「たより」に、ぜひご期待下さい!
 とにかく集まる人々が多彩で楽しい。ざっくばらんで「所長」なんて肩書きが音を立てて崩れそうな神父。10フィート映画を上映し、平和ウォークを主宰する穏和な医師。会報の発行に併せて、いろいろな場所で活躍している人を招き、話しを聴く反原発運動の人たち。憲法を護り活かそうと、連続講座を主宰するお寺のお坊さんや会社員。お国自慢の鍋で交流するアジアの留学生。手間ひまかけて無農薬野菜や地鶏の卵を作り届ける人。平和の催しを記録し映画を作る人。下関の様々な行動とことばを隔月で編集・発行する人々。プロテスタントの牧師たち。音楽に乗って、つい踊ってしまう憲法学者や歌う大学学長。最近はカンボジアのいろいろをお話しして触れる「チャット・カンボジア」という会もできた。〈チャット〉はクメール語で〈心〉、英語では〈おしゃべり〉。二十代の女性で、図書館の司書さんが代表になった。
 下関の絶景の見晴らしと、海峡からの風が心地よいところに、ここ「下関労働教育センター」愛称=日和山(ひよりやま)わーくセンターは建っている。
 <社会司牧>の実現のためイエズス会によって運営されているセンターは、様々な施設の中でも特殊な存在だろう。何より設立の当初から、市民と関わりが深く、カトリックの施設でここほど<信者ではない人たち>が自由に集っている場はそう多くはないのではないか。
 その市民と関わってきた社会問題も多彩だ。労働者の権利。在日外国人の諸権利。
民族や子どもの人権問題。憲法問題。原発、環境の問題。障害者の自立。アイヌ民族の文化と諸権利を考える催し。従軍慰安婦や戦後補償。東チモールの独立支援活動。戦争と平和の様々な催し。市民生活を考えるフォーラムなどなど数えきれない。
 集う市民にとってセンターは会議や集会の場であり、会報などの発行所でもある。また、メンバーと楽しく食事を分かち合う憩いの場にもなる。宿泊設備もあるので数日にわたる集会も企画できる。
 市内には他に施設があってもここを利用するのは、使い勝手の良さ以上に〈多くの人たちが様々な問題にきちんと向き合い、悩み、活動してきた〉という大切な歴史、誇り、励ましなど、そんないろいろなものを感じるからだろう。
 クリスマスの集いもセンターならではだ。信者もそうでない人も共に集い、小さな聖堂でひとりひとり関わっている問題を語り、思いを共有する。背負っている苦しみに涙を流す人もいる。じんわりと心と心が重なっていく素敵な聖夜だ。
 福音をどうのべ伝えるかー。でも信仰の有無を越えて、ともに社会問題に取り組むことにより、結果として福音を証ししているのかなぁと思う。
 人と人が知り合うことが難しくなった現代、違う目的で集った人たちがまた新しい人の輪を創造していく。センターは「出会いの祝祭」の場だ。
「下関の行動とことばをつなぐ-海」の発行を終えて。