<お知らせ> 「キリスト教と正義」ブックレット第4弾
映画と英雄神話
-『スター・ウォーズ』から『マトリックス』まで-
ハビエル・メロニ著
イエズス会社会司牧センター

イエズス会社会司牧センターは昨年2月と7月に、スペインの「キリスト教と正義」センターが発行するブックレットを3冊、翻訳しました。そしてこの度、4冊目として『映画と英雄神話』を翻訳発行することになりましたのでお知らせいたします。▲このブックレット・シリーズは、スペイン・カタルーニャのイエズス会が中心となって運営する「キリスト教と正義」センターが、セミナーでの講演やオリジナル論文を中心に、信仰と正義の関係に焦点をあわせて出版しているものです。▲今回のブックレットは、若者に人気のSF・ファンタジー映画4シリーズを取り上げて、解釈学的な検討とともに、倫理的・キリスト教的考察も加えています。映画に興味がある方はもちろん、若者文化について知りたい方にもぜひ、お勧めします。お申し込みは、一番下をご覧ください。

 『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』『マトリックス』…近年、制作されたこれらのSF・ファンタジー映画は、筆者によれば、いずれも一作あたり制作費1億ドル、観客1億人、興行収入数億ドルをこえるメガ・ヒットとなっている。また、筆者が書いているように、これらの映画は、映画・DVD・CD・本・テレビゲーム・ボードゲーム・フィギュア(人形)・ホームページなど、さまざまなメディアと商品を通じて自己増殖し、独自の「帝国」を築いて、若者たちに多大な影響を与えている。
 これらの映画にどんなシンボルが含まれているか、古来の英雄神話とどこが共通しているか、そして、そのメッセージは倫理的・キリスト教的にどんな意味を持つのか-ということを、著者は大まじめに論じている。映画の題名だけ見ると、「エッ?」と思われるかもしれないが、ご一読いただければ、それなりに納得できることと思う。

 実は、私(柴田)自身、本書で取り上げられている映画はほぼ全部見ているという、SF・ファンタジー映画ファンだ。
だから、若者たちがこうした映画に熱狂するのも、分からないではない。問題は、若者たちがそうした映画のメッセージを、あまりに無批判に受け入れてしまうことだ。実際、日本でも一部の映画やアニメは、文字通り「カルト的な」、つまり「新興宗教のような」人気を集めている。
 それは既成の思想や宗教に、かれらの心をつかむ魅力がないということかもしれない。それはもともと思想や宗教に力がないということではない。ただ、著者がいうように、映画に比べて人々を魅了する「物語」と「シンボル」を表現し切れていない、ということだと思う。

 「聖なる(sacred)」ということばの語源は、インド-ヨーロッパ語の"sak-"つまり「いのちを吹き込む」「現実のものとする」ということばだと、著者はいう。だからこそ、宗教は映画のように、いや、映画にも増して、現実とは異なる世界=「神の国」にいのちを吹き込み、現実のものとして人々に示さなければならないのだ。私たちにはこれらの映画から学ぶことが、たくさんある。
バックナンバーのご案内
『グローバリゼーション』(J.F.マリア・イ・セラノ、S.J.)■ 国際関係を支配しているグローバリゼーションの流れについて、経済・政治・文化の各方面から入門的に説き明かす。勉強会に最適。

『神の国を探し求めて-新世紀の倫理-』(ホアン・カレラ・イ・カレラ、S.J.)■ 価値観の多様性と自己決定の権利が重視される現代社会にあって、キリスト教倫理はどんな規範を主張できるのか。

『暴力の百年』(ホセ・ソルス)■ 20世紀は戦争の世紀といわれた。そして21世紀。民主主義とグローバリゼーションはほんとうに平和をもたらすのか? 「多様性」と「普遍性」の矛盾を読み解く。
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