イエズス会社会司牧センター |
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『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』『マトリックス』…近年、制作されたこれらのSF・ファンタジー映画は、筆者によれば、いずれも一作あたり制作費1億ドル、観客1億人、興行収入数億ドルをこえるメガ・ヒットとなっている。また、筆者が書いているように、これらの映画は、映画・DVD・CD・本・テレビゲーム・ボードゲーム・フィギュア(人形)・ホームページなど、さまざまなメディアと商品を通じて自己増殖し、独自の「帝国」を築いて、若者たちに多大な影響を与えている。 これらの映画にどんなシンボルが含まれているか、古来の英雄神話とどこが共通しているか、そして、そのメッセージは倫理的・キリスト教的にどんな意味を持つのか-ということを、著者は大まじめに論じている。映画の題名だけ見ると、「エッ?」と思われるかもしれないが、ご一読いただければ、それなりに納得できることと思う。 ● 実は、私(柴田)自身、本書で取り上げられている映画はほぼ全部見ているという、SF・ファンタジー映画ファンだ。 |
だから、若者たちがこうした映画に熱狂するのも、分からないではない。問題は、若者たちがそうした映画のメッセージを、あまりに無批判に受け入れてしまうことだ。実際、日本でも一部の映画やアニメは、文字通り「カルト的な」、つまり「新興宗教のような」人気を集めている。 それは既成の思想や宗教に、かれらの心をつかむ魅力がないということかもしれない。それはもともと思想や宗教に力がないということではない。ただ、著者がいうように、映画に比べて人々を魅了する「物語」と「シンボル」を表現し切れていない、ということだと思う。 ● 「聖なる(sacred)」ということばの語源は、インド-ヨーロッパ語の"sak-"つまり「いのちを吹き込む」「現実のものとする」ということばだと、著者はいう。だからこそ、宗教は映画のように、いや、映画にも増して、現実とは異なる世界=「神の国」にいのちを吹き込み、現実のものとして人々に示さなければならないのだ。私たちにはこれらの映画から学ぶことが、たくさんある。 |
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