阿部 慶太(フランシスコ会)
 
前号まで「なにわだより」を執筆していた阿部さんが、今号から題名も新たに「京浜だより」を執筆します。川崎に住み、東京のフランシスコ会本部で働く日々をつづって下さいます。どうぞ、お楽しみに!
  去年、人事異動で大阪から川崎市に移り、現在、仕事は管区の二つの事務局と、4月までは、あるNGOの事務局を兼任しています。そのため、住まいは川崎、勤め先は東京という具合に、神奈川・東京間-いわゆる京浜間を通勤する毎日です。また、出張もあるので各地の活動やNGOなどを見ることができ、大阪にいたときとは異なる経験をしています。


 大阪から川崎に移って感じたのは、当然のことなのですが、関西と関東の違いといえます。生活習慣、文化、都市整備や交通機関、そして、地域や諸活動の形態が異なるな、ということでした。
 一つの例ですが、以前地域活動に関わっていた大阪生野区の場合、日本最大の在日韓国朝鮮人(以下在日)の居住地域でしたから、区の人口の約三分の一が在日というように、規模が大きなコミュニティーを形成していました。しかし、関東の場合、生野のような大きなコミュニティーは存在しませんし、台東区や川崎市桜本に在日の商店街があるくらいで、離散した、いわゆるディアスポラ化している感じがします。

 また、在日の活動も生野区はコミュニティーが大きいために、必要に応じて様々な地域活動団体が生まれ、そのほとんどが自主運営です。また、こうした団体は多いため、方向性も色々でバラエティーに富んでいるといえます。
 関東の場合はどちらかというと在日が分散しているので、一つの地域に集中して関係する地域活動の諸団体があるというより、点在しているという感じがします。しかし、県や市で運営されている国際交流センターなどを拠点に活動するグループや、川崎市にある「ふれあい館」のように、市の委託事業という運営の基盤がしっかりした拠点がある点で、整備されている印象があります。


 その他にも、関西と関東の差異は日常生活から宣教司牧にいたるまでたくさんあるため、ここでは紹介しませんが、私自身で変わったことは、事務局の仕事、特に海外支援のNGOでは、現場との連絡や調整を通じて未知の場所との出会いが増えました。
 大阪にいたときには、自分の住んでいた生野区やその周辺のニュースや在日関係のことが多かったのですが、現在は、アフリカ、中近東、東南アジアなどの現場と接点が増えたので、ちょっぴりグローバルなニュースをこの紙面でお届けできるのではないか、と思います。
 初回からプレヴュー的な内容になって申し訳ありませんが、活動の現場が関西から関東に移って差異を感じる毎日というのが今回の報告で、次回から「なにわだより」とは違う分野のレポートをお届けしたいと考えています。