当日、パネラーとして発題したのは以下の通り。
- 柳下み咲(アムネスティ・インターナショナル日本)
- 古川龍樹(生命山シュバイツァー寺)
- アルベルト・クァトルッチ(聖エジディオ共同体)
- 菊田幸一(明治大学教授、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90)
- 末廣哲(監獄人権センター)
- 廣瀬靜水(大本・人類愛善会生命倫理問題対策会議/病気のため代理出席)
- ホアン・マシア(イエズス会・上智大学)
- 雨森慶為(真宗大谷派・東本願寺、同和推進本部本部委員)
- 保坂展人(衆議院議員、死刑廃止を推進する議員連盟事務局長)
各パネラーは、各々の団体の死刑廃止に関する取り組みを説明した。
また、以下の3人がメッセージを寄せた。
- ホセ・ヨンパルト(上智大学・イエズス会)
- 西郊良光(天台宗宗務総長)
- 左藤恵(元法務大臣)
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その後、会場からの発言もまじえて、討論に移った。現在の日本における死刑廃止運動の焦点は、今国会中に「死刑廃止を推進する議員連盟」が超党派で提出予定の、「死刑執行停止法案」だ。このシンポジウムのちょうど翌日に、法案を説明するシンポジウムが開催される予定で、議員連盟の保坂事務局長は、「半世紀ぶりにようやく、死刑廃止に向けて、国会に法案が提出されます」と、その意義を語っていた。
だが、これはあくまで「執行停止」に過ぎない。真の「死刑廃止」を実現するためには、死刑容認派が多数を占める国民世論、そして、その背景にある文化を変えていかなければならない、という意見が出された。そして、その「文化を変える」ために、もっとも活躍が期待されるのは宗教者である-という点で、参加者の認識はほぼ一致していたようだ(おそらく参加者の半分以上は宗教関係者だったと思われる)。ただ、宗教者のネットワークを創り出す(正確に言えば、休眠状態のネットワークを再生させる)ために、世話役を引き受ける組織がない。当センターも含めて、各団体・宗派とも、既存の活動で手一杯なのが現状だ。
そんな事情も考慮して、当面、次の2つが提案され、了承された。
- シンポジウム参加者をメンバーに、ネットワークをつくる(アムネスティが事務局)
- このシンポジウムを来年以降も毎年、開催する。近年、法務省による死刑執行の強行によって、停滞気味だった日本の死刑廃止運動に、今回のシンポジウムは大きな刺激となった。聖エジディオ共同体の情熱的で、創造力あふれる活動に触れて、私たちも再び、日本の死刑廃止に向けて、力を尽くしていきたい。
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