阿部 慶太(フランシスコ会) |
他のこども会のように、宿題をしたり、ゲームなどをする他に、韓国語の歌や民族の文化や芸能を習ったりするプログラムがあるのがこのこども会の大きな特徴です。 在日のこども達ばかりではなく、日本人のこどもも参加していますが、会の主旨などを理解してもらった上で同じプログラムを行います。そのため、地域の在日のこども達に民族教育の場を提供しているだけでなく、日本人のこども達に対して異文化教育の場も提供していることになります。 現在、1歳から小学校の高学年まで約30人のこども達に専従の2名のスタッフ、15名前後のボランティアが関わっています。この数は、日常の活動とキャンプや遠足など学校のない期間に行われる行事で、多少変化します。また、これら行事の中には、他の区のこども会との交流も含まれ、異文化交流の場やこども同士の交流の輪を広げています。 こども会の果たす役割は、こども達の民族教育や交流だけではありません。近年、在日との結婚で日本にやってくるニューカマーのオモニ(韓国語で母親の意味)達が、こどもの保育園や幼稚園への入園、小学校入学などの成長段階で起こる言葉や文化の差異を緩和する働きもあります。 |
あるオモニは「私の言葉が足りない点をここで教えてくれるので助かります。こどもがハングルであいさつしたり、国の習慣を嫌がらないのが嬉しいし、寂しいことがないです」と、こどもとのコミニュケーションが保たれ、言葉のハンディキャップで伝えきれない母国の文化や習慣をの徐々に身に付けているこどもの姿を喜んでいました。 さて、こども会の毎日のプログラムや季節ごとの行事を通じて、こども達は自分のアイデンティティーと向き合いますが、こうした積み重ねは、将来的に地域活動や民族教育のリーダーやボランティアの養成につながっていきます。実際、こども会を卒業し、地域のつながりキャンプなどの行事のリーダーやヘルパーになっているケースも出てきているからです。そのため、地域の現在だけではなく,未来に向けた活動ということもいえるでしょう。 季節のこども会の行事で、この12月はクリスマス会を行いますが、こども達の出し物は聖劇やクリスマスキャロルではなく、サムルノリ(農楽)を準備しています。当日はジングルベルの代わりにチャンゴ(長鼓)の音色がコリアタウンに響くことでしょう。<取材協力/ハヌルこども会> 短信/生野民族文化祭20年の歴史に幕 前号でお伝えした生野民族文化祭が、20年の歴史に幕を降ろしました。文化祭の前日の朝日新聞地方版もこのニュースを取りあげましたが、在日を取り巻く状況の変化と同様の文化祭の増加が閉幕の主な理由です。 しかし、閉会の咸忠男(ハンチュナム)実行委員長の挨拶で「また,新たなマダン(祭り)を作る有志が集まった時、また会いましょう」と述べ、閉幕が終わりでなく新たな始まりであることも強調しました。また、新たなマダンの復活に期待したいものです。
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