なにわだより④
エキュメニカルな地域活動
阿部 慶太(フランシスコ会)

  大阪市生野区の地域活動は、キリスト教各派が共に一つの地域に関わるエキュメニカルな地域活動として、約四半世紀以上の歴史があります。今回は、全国でもユニークな生野の地域活動の歴史と活動を簡単に紹介したいと思います。
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 人権問題や外国人登録法などの取組みでも知られる生野区の地域活動は、1970年代初めに有志によって行われたキリスト教一致祈祷会からスタートしました。ともに祈り、地域の問題について語る中、地域についての学習が必要ということで、1975年「生野地域活動研究会」が始まり、次いで地域の問題に地域住民の参加も必要ということで「地域活動懇談会」と名称が変わりました。そして、1977年地域にある8つの教会が加盟し結成されたのが「生野地域活動協議会」です。
 「生野地域活動協議会」(以下地活協)は、1970年代後半から今日まで、地域の様々な問題-人権問題、教育、福祉等々、地域のあらゆる事柄にキリスト教各派が共に取り組んできましたが、時代とともに活動内容も変化しています。
 例えば、人権に関する点でみると、1970年代は、公営住宅の入居国籍差別撤廃、私立学校への入学差別撤廃への反対運動など差別の撤廃や権利の獲得などに取り組んできました。
 1980年代には、外国人登録法のための取組が盛んで、1984年の指紋押捺拒否実行委員会が結成され、その後、賛同する人々や団体の増加によって1987年には全国組織「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」(外キ連)が結成されるに至りました。これらの活動と努力が実り、1999年に指紋押捺制度は完全撤廃されたのは記憶に新しい出来事です。
 1990年代は、ニューカマーや外国人労働者のオーバーステイの問題に取組む「韓国人法律救援センター」が韓国基督教会館(KCC)内にオープンし、外国人労働者の待遇の改善への取組みや、結婚等によって日本に居住することになったニューカマーの法律相談などが行われています。
 また、教育や福祉に関しても、その時代の地域のニーズに応えています。例えば、まだ在日韓国朝鮮人のための識字学級がなかった1977年には、「いくのオモニハッキョ」がスタートし、1980年代に地域の青少年の非行が問題視された際には、青少年問題への取組みと共に青少年のリーダー養成プログラムの実施を、1990年代からは地域の子供たちの交流を目指した「生野つながりキャンプ」が毎年行われています。
  福祉の点でも、一例として、ハンディキャップを持つ子供が通園する社会福祉法人聖フランシスコ会の「生野こどもの家」が、1973年に生野カトリック教会の敷地内に開園し、その卒園生ためのの作業所が1980年代にできました。1990年代には彼らが仕事で疲れた体と心を癒すために、同法人の持つ野外施設「レーベンスシューレ」を利用するようになりました。毎年多くのハンディキャップを持つ子供たちとボランティアが、山の中で植林などの作業に汗を流して心身ともにリフレッシュしています。
さらに、「生野民族文化祭」のようなイベントも80年代から企画され、現在は地域の行事として定着しています。また、現在は休止していますが、90年代にはFM局も開設されるなど、文化面の取り組みも時代ごとに登場してきました。

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 以上、地活協に属する活動を時代ごとに幾つか紹介してきましたが、エキュメニカルな地域活動であるだけに、各教派の法人の特色や持ち味を生かしながら、その時代の地域のニーズに応え、様々な活動に取り組み、活動内容も年々広がりを見せていることが分かると思います。また、生野の地域活動は、多文化が共生する地域で、エキュメニカルな集まりがどのように活動していくか、ということの一つのモデルを示している活動でもあるのです。
 今回、紹介した活動もほんの一部で、全てを紹介できないのは残念ですが、またの機会に他の活動についても報告したいと思います。
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今回は、ウイレハド・チネカ神父(フランシスコ会)に取材協力いただきました。この紙面をお借りして感謝します。