本校は生徒数340人足らずの小規模な女子校である。「真善美」を校訓に「愛と奉仕」をモットーに、創立以来、奉仕活動に全生徒、教員が一体となって取り組んできた。
本校の福祉教育は社会の変化とともに、2度の大きな転回点を経てきたように思う。
一つは昭和54年から56年まで山口県社会福祉協議会のボランティア協力校の指定を受けたことである。国際障害者年などがあって、社会的にもボランティアが認知され始めたころである。奉仕活動から福祉教育へと概念が変化した。また、社会福祉協議会との連携が強化された。
さらに、平成5・6年と文部省の奉仕等体験学習の研究指定校となった。(広島学院中等部も同時期に指定を受けておられた)このとき、福祉教育からボランティア学習へという見直しを行った。一言で言えば、生徒の自主性、主体性を重視した活動への転換である。
本校は、創立以来、学年末に「全校施設訪問」を行い、年に一度は生徒・教職員全員が福祉的体験をする場を設けてきた。
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それが、生徒が福祉へ芽を吹く機会となり、その体験が生徒の人生の大きな岐路となったケースも少なくない。
ところが、7、8年ほど前から「歓迎されないボランティア」の反省が教員の間から聞かれるようになった。年に一度しか訪れない、訪れてもなにもできずにうろうろするばかり…これではボランティアではなく、ただ施設に迷惑をかけに行っているにすぎない…。
施設の生活のリズムを乱したり、施設のニードに答えていなかったり、継続して行っているボランティア活動と違って施設とのコミュニケーションがうまくとれなかったり…多くの問題点が指摘される中で、生徒が主体的に動いていない、生徒は活動をさせられている、その生徒の受動性が活動に精彩を欠き、マンネリ化している主因のひとつだという反省を持った。
そこで、現在は「全校施設訪問」は廃止し、「1年間に最低一度はボランティア活動に参加しよう」をスローガンに、活動を生徒自らの手で企画運営することを奨励している。教員はそのための援助を行う。教員主導型の活動から、生徒主導型の活動へ脱皮を目指しているが、現実には困難な点も多い。
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