その地上の小さな小さな植物の一つに、「むらさきつゆくさ」があります。「紫露草」は辞書によると、北アメリカ原産・ツユクサ科の多年草で、夏から秋にかけて紫の幾つかの小さな花を咲かせ、半日でしぼんでしまいます。まさに、花の命は短かけれど…ですが、ここ下関の市民運動の機関誌の一つがその「むらさきつゆくさ」と名付けられて、短いどころか第40号を数えています。
冷戦構造化で米ソが宇宙戦略のしのぎを削っていた頃、植物実験素材として、宇宙から帰還した紫露草の雄しべの毛の染色体には、無重力状態と宇宙線からの影響がはっきりと出ていたと報告されています(当時、埼玉大学教授<遺伝学>市川定夫氏による)。NASAからの公式報告は、当時の戦略的操作から遅くなったそうです。さらに、この自然界の安全測定シグナルである紫露草の雄しべの毛は、微量の放射線に反応することから、原子力発電所からの放射能漏れを感知する為に、発電所付近に植えられるようになります。まさに、民衆の草の根運動は、自然の賜物の草の検知手段を与えられたのです。聖書の「野の百合をみよ」は「野の紫露草をみよ」とも言い換えられます。 |
下関市から日本海側を車で約1時間の豊北(ほうほく)の海岸に、1970年代「豊北原発建設計画」を推進しようとして、現地漁民を始め多くの反対運動に挫折させられた中国電力会社は、以後瀬戸内海側の山口県上関(かみのせき)町に「上関原発建設計画」を何が何でも押し進めようとして、県内外の反対する連帯運動に阻止され続けています。
「むらさきつゆくさ」を機関誌とする市民運動「原発いらん!下関の会」は、1995年5月に結成されました。以前から個々人が関わってきた反原発の生き方、行動経験を踏まえての結束です。全国的情報交換、連帯行動、こつこつ重ねられている基礎からの学習活動、更に国境を越えた連帯活動は下関の民衆のエネルギーの質と方向を示してくれています。会員によるチェルノブイリ現地訪問と報告、韓国・台湾の反原発運動との連帯等、宇宙船から見れば点の動きでしょうが、着実に線を描いて広がっています。オータナティブを追求して太陽光エネルギーに取り組み、何より電力浪費の生活様式の変革への意識改革を怠りません。 |