「『Vivere est militare』(生きることは戦うこと)。私はこの言葉を聖ヨセフ学園の図書館に貼ってあった壁新聞の中に見つけた。高校2年生の書いたものだ。若干16~17歳のこの生徒たちに、このあまりにも生々しい言葉を吐かせてしまう状況とは一体何なのか。これが私のわずかな東ティモール体験の中で私を打ちのめした最も忘れがたい事であった。この疑問の背景をここで皆さんと一緒に考えることで、『東ティモール』という私たちにとって馴染みの薄い言葉に少しでも関心を持つ手助けができればよいと思う。
そして何よりも『ひとりぼっちではないんだ』と彼らに思ってもらうことができれば、それが最大の貢献と言えるのではないだろうか。
東ティモールに於ける人権侵害と抑圧は『人間は手段ではなく目的である』というカントの原理の否定である。生徒たちの『Vivere est militare』とは、その抑圧に対する当然の答えであり、私たちが忘れてしまった魂の深い叫びである。在校生の皆さんも、卒業後にでも是非この地を訪れて、姉妹校の同胞たちとの交流を通じてこの想いを共感してもらいたい。