私の猫チビとアマゾン

ポール マッカーティン SSC
聖コロンバン会司祭、エコロジー・正義・平和担当

  2019年8月、隣の空き家の裏に、小さな2匹の子猫を連れた母猫を見かけました。数週間後、母猫と1匹の子猫が私の家の庭に引っ越してきました(フェンスはありません)。夏の終わり、子猫はかなり衰弱して、3日間入院しました。獣医によれば、先天性の疾患があり、完全に治ることはないだろうとのことでした。子猫は回復しましたが、家に帰ると、母猫がその子を拒絶したことが分かりました。その頃、最初の子猫よりも大きい別の子猫が現れましたが、明らかに同じ母猫の子どもでした。私は大きい方をアニ、小さい方をチビと名付けました。アニとチビはとても仲良しで、よりエネルギッシュなチビは、アニに「戦い」を挑み続けています。

  去年の秋のある晩、午後9時頃、私はいつもどおり散歩に出かけました。アニとチビが私についてきました! 子猫たちを連れて混雑した道を歩きたくなかったので、その日は1キロしか歩きませんでした。次の日の晩も、子猫たちが私を追いかけてきたので、交通量の少ない裏通りを歩くことにしました。私たちは6月まで、ほぼ毎晩歩きました。時折、私は子猫たちを約3キロの長いコースに連れて行きました。危険な橋を避けるため、一度昼間に、岩から岩へと飛び移りながら狩川を渡りました。チビはまったく物怖じすることはありませんでしたが、アニは帰りの交差点まで、私が抱きかかえなければなりませんでした。チビはアニよりも好奇心が強く、冒険好きで勇敢でした。

  1歳になってもなお、チビはアニよりも明らかに小さく、小さな足で歩く様子は微笑ましかったです。おそらく先天性の疾患により、チビは声が出せず、何かが欲しい時だけかすかに鳴きました。

  道行く人が立ち止まって2匹(たまに母猫も)を眺めますが、一番注目されるのはチビでした。私の庭のチビを見て、1台の車が止まりました。運転手の女性は「すごくかわいい!」と言っていました。チビがくれた最大の贈り物は、私を笑わせることだったのかもしれません。

  悲しむ人々は幸いである。私は未だに、何が起きたのかを調べようとしています。人々は私に、猫の誘拐だと説明します。しかし…チビはただの猫で、私はチビとアニを飼うことを心配していました。2匹はたくさんのトカゲや鳥を殺したからです。生物多様性。私はアマゾンの破壊を思い浮かべます。ブラジルのボルソナロ大統領は、アマゾンを破壊するためのあらゆることを行っています。彼はそこに住む人々のことはもちろん、動物のことも気にかけません。植物のこともそうです。先住民族が殺害されています。動物や植物が生きたまま焼かれています。司祭やシスターたちは、アマゾンを保護しようとしているために、暗殺されています。今年7月のある朝、チビは朝食に姿を見せませんでした。普段なら、朝4時半頃に私を起こしに来るのです。午後3時半に電話があり、私の猫が上大井で交通事故に遭い、死んだと告げられました。上大井! 二つも隣の町です。チビはそんな遠くまで歩くことはできませんでした。どうやってそこにたどり着いたのでしょうか? チビはとてもかわいいので、誘拐される危険が高いと警告されたこともありますが、私は真剣に取り合いませんでした。警察からは、「誘拐」されるのは人だけで、何もできないと言われました。

 

  昨年のアマゾンの火災の報告を耳にした後、私はひどく腹が立ち、大統領の指名手配ポスターを作って、ブラジル大使館の外で抗議をしました。

  私は今、日本の企業や金融機関がアマゾンの破壊に関与しているかを調べようとしています。

  これはすべて、牛肉と大豆を生産するためです。世界のいわゆる「先進国」の私たちのために。アメリカンドリームに洗脳され、その一部になりたいと思っている何百万人もの中国人のために。約20年前、一人の司祭がブラジルから日本に来て、JICAに対して環境破壊をやめるように求めました。カトリック新聞がインタビューしました。私がJICAに手紙を出したところ、お決まりの返事が返ってきました。「JICAはいつも人々と環境をプログラムの中心に据えています。」

  地球上のすべての人がこの「夢」を生きるためには、4つの地球が必要です。不可能です。あり得ません。ですから、誰もがほぼ等しい生活水準で生活するためには、「先進国」の私たちの生活水準を下げる必要があります。私たちの水準を引き下げなければならないのです。それが環境を保護し、貧しい人々の暮らしを改善するものでない限り、私たちはすべての研究開発をやめるべきです。5G、6Gなどは必要ありません。環境破壊を可能にしているのは、これまでに行ってきた研究開発です。まだ十分に使えるアナログテレビを処分場に持って行ったとき、そこに捨ててあるテレビの数に愕然としたことを覚えています。全国には何百もの処分場があるでしょう。すべてのテレビはどこに行きついたのでしょうか?

  少し前に、あるアジアの国で開かれたビジネスイベントに参加した6人の日本人ビジネスマンの話を偶然聞きました。その後彼らは飲みに行き、全員が同じカトリック大学に通っていたことが分かりました。彼らはアジアでアメリカンドリームを売っています。彼らが教会の社会教説や環境への配慮の必要性について何かを学んだのかどうか、私には疑問です。自分たちの学生が世界をより良いものにする気がないなら、何のために教育機関があるのでしょうか?

 

  アマゾンや他のすべての環境問題に対して、教会は何ができるでしょうか? 国会議事堂の前で、司教たちがデモをするのはどうでしょうか? 数時間でもいいので。あるいは、司祭や修道者たちと一緒にハンガーストライキをするのはどうでしょうか? メディアの報道も必要ですね。他の宗教指導者と一緒にするのはどうでしょうか? もしもCOVID-19によって実現が難しいという場合は、いっそバーチャルデモなんてどうでしょう? 創造的になりましょう! 9月25日、国会議事堂の周囲で若者によって企画された気候抗議行動は、いくつかのメディアが取り上げてくれました。私の参加した、横須賀火力発電所前での抗議行動は、メディアでは報じられなかったようです。

  ある日曜日に、すべての小教区でのミサを中止して、その代わりに地球のために何かをさせることができるかもしれません。私たちは自らの信仰を世界と繋ぎ直す必要があります。イエスには使命がありました。それは、神の国を告げることです。神の愛とゆるし、平和、正義、いつくしみ。イエスの行ったすべてのことは、この目的のためでした。イエスを信じるということは、彼の使命を信じ、それを継続することです。

  けれども私たちは、途中のどこかで、イエスの使命を忘れてしまいました。多くのカトリック信者にとって、今や信仰とは、いくつかの教義を信じ、ある祈りを唱え、日曜日にミサに行き、掟を守ることになっています。多くの人は、イエスが一体何をしようとしていたのかすら知りません。

  だから私たちには、何か異常さがあるのです。カトリックの人々が、不正と環境破壊に関与しているのです。私の読んだいくつかの報告は、環境保護や移民のための正義は、エイミー・コニー・バレットにとっては優先事項ではないと示しています。彼女はハイチから二人の子どもを養子にし、「善良な」人のように見られていますが、他の何百万人のカトリック信者と同様に、彼女の世界観に完全には統合されていない信仰を有している一人です。あまりにも多くのカトリック信者が中絶には反対していますが、死刑には賛成で、彼らの政府が戦争を行っていることを支持しています。

  教皇フランシスコが2013年に『福音の喜び』を発表したとき、私は笑ってしまいました。教皇は、イエスの福音が喜ばしいものであるということを私たちに思い出させる必要があると信じていたのです! 私たちのあまりに多くの人が、畑に埋もれている宝を見つける喜びを忘れていました。その宝はとても重要なので、私たちはひょっとするとそれを手にするために、他のすべてを喜んで手放すでしょう。

  数週間前、私は「システム・チェンジのためのグローバル対話(Global Dialogue for Systemic Change)」が企画したアマゾンについてのウェビナーに参加しました。誰かがカトリック教会の「被造物の季節(Season of Creation)」について言及しました。他の国のカトリック信者は、被造物の季節を発展させました。9月1日から10月4日(アシジの聖フランシスコの祝日)までの期間の特別な典礼、祈り、そして行動です。これを翻訳して日本に適応させ、すべての小教区で祝いましょう。
 

『社会司牧通信』第214号(2020.10.15)掲載

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