東アジア・太平洋地区のイエズス会が直面する未来 ~JCAP拡大協議~

安藤 勇 SJ
イエズス会社会司牧センタースタッフ

  2019年10月14日から16日にかけて、イエズス会アジア太平洋協議会(JCAP)中央事務所から招集されたイエズス会員と協働者のグループが、フィリピン・ケソン市にある聖心会の黙想の家に集まりました。JCAPに属する国の代表として話し合うためです。

  「専門家」グループによって提案された10の最優先事項を数年前にJCAPが採用して以来、東アジア・太平洋地域だけでなく、世界中で多くの変化が起こりました。その一方で、イエズス会は新総長アルトゥーロ・ソーサ神父のリーダーシップのもと、今後10年間でイエズス会全体を導くための方向づけ(UAPs)を採用しました。すべてを考慮に入れて、JCAPはこの方向づけの光のもと、これまでの2014年から2019年にかけての使徒的計画を見直すことに決めました。
 

教皇フランシスコによって確認された、イエズス会使徒職全体の4つの方向づけ

A) 霊操および識別を通して神への道を示すこと。
B) 和解と正義のミッションにおいて、貧しい人々、世界から排除された人々、人間としての尊厳が侵害された人々とともに歩むこと。
C) 希望に満ちた未来の創造において若い人々とともに歩むこと。
D) 「ともに暮らす家」(地球)への配慮と世話を協働して行うこと。

  JCAPは、地域のJCAPのもとにあるすべてのアクティブなイエズス会の使徒的部門のコーディネーターと、そのコンサルタントメンバーを一緒に招集することにしました。今回はじめて、まったく新しい計画立案を採用するには、55人という多くのイエズス会員と協働者がフィリピンに集まり、そのプロセスを開始しました。プロセスの方法も新しく、将来の決定は、JCAPの執行部を構成する上級長の役割であることが最初から明確にされていました。

  ここでは、拡大協議について簡単に報告したいと思います。詳細な報告に興味がある人は、JCAP事務所から送られた14ページの公式報告書が東京の社会司牧センターにあるので、そちらを参照してください。
 

拡大協議はどのように行われたのか
  インプットは最小限で、霊的会話や、祈りと考察のための時間が多く与えられました。挙げられた計画は、来年7月に行われる上級長会議の中で提案されます。UAPsを吸収し、一体となって動くためには、誰もがゆっくりと動かなければならないことが明らかになりました。私たちは神の意志を追い求め、そこでイエスと出会います。おそらく、深い識別には時間が必要でしょう。

  JCAPに代表されるすべてのイエズス会の使徒職部門を網羅するために、議論の全プロセスの中で用いられた方法は、すべての様々な活動に適った共通基盤を決定することでした。

  この拡大協議は、パンと魚を増やしたイエスの奇跡(マルコ6:30~44)を考察することから始まりました。この聖書の物語は、協議の霊的な焦点となりました。私たちの使徒的使命には、たとえ小さなものであっても、パンや魚を探すためにあたりを見渡す弟子たちのように、何か貢献できるものがあります。弟子たちが見つけたものは十分ではありませんでしたが、結果的に、奇跡そのものはイエスの力から生じたのです。

  協議の中心は、上記のUAPsの観点から、私たちの生きている現実の状況を考察することでした。

  イエズス会の霊性の光に照らして、協議では私たちの地域で重要な特定の分野を探し、何を強調し、意思決定者である上級長に何を提案するかを決定しました。三日間の協議は主に小グループでの話し合いで、私たちはお互いの声に耳を傾け、全体会に報告し、そして再びグループでそれを分析し、個人的な祈り、霊的会話、識別のためのセッションを行いました。拡大協議は、優れた専門的リーダーシップによって実施されました。

  来年2020年のはじめに、JCAPの上級長たちは、拡大協議による前提に基づいて、ともに霊操を行います。その後、同年7月には、今後のJCAP計画を承認してもらえるでしょう。
 

 
 

☜ 会場にあった、JCAPのイメージである木。
イグナチオの霊性という根から、
多くの芽、様々な部署が生まれ、
一つのJCAPという「木」を形づくっている。

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