日韓両管区合同反核・反原発セミナーを終えて

パク ムンス SJ(人権連帯研究センター(JAS))

  韓国管区と日本管区は近年相互の交流を重ねており、管区間での協働をさらに一歩進めることに同意した。この流れのなかで、日本の下関労働教育センター(LEC)とソウルにあるイエズス会人権連帯研究センター(JAS)が共催し、日韓のイエズス会員と平和運動の仲間たちによる二日間のセミナーが行われた。労働教育センターが迎え入れてくれ、韓国からの参加者たちは釜山から船中一泊のフェリーで下関に着いた。2012年7月12日の朝食後にセミナーは始まった。

  林神父の、人々を和ませるカリスマによって参加者の心が開かれ、生き生きとしたわかちあいが始まった。日韓両国語のできる参加者が数名おり、交替で通訳をしてくれた。

  核に対する反対運動は、特に福島原発のメルトダウン・放射能漏れの事故以来、韓国よりも日本で強まっている。韓国からの参加者たちはそのような運動と協働することを通して自分たちの運動のはずみとなることを望んでいる。一方で韓国のカトリック教会は信徒人口が多いため、日本よりも社会的影響力を持っている。協働によって得られるものは多い。  参加者は原子力政策についての情報と平和運動の体験をわかちあった。日本側のプレゼンテーターの一人は、福島原発の事故で避難せざるをえなかった、反原発の活動に従事してきた女性であった。

  彼女は東京電力(TEPCO)と日本政府による情報隠ぺいによって苦しんできたその苦悩と怒りをわかちあった。プレゼンテーションとディスカッションの後に参加者たちは連絡先を交換し合い、継続したプログラムを行っていくことに賛成した。JASと下関労働教育センターはこのプログラムを促進していかねばならならない。  韓国の参加者たちは激しい雨の中、下関の歴史的な場所を案内していただいた。下関は20世紀に日本が韓国と中国に侵略していったときの重要な出航地である。日清講和条約が行われた春帆楼で、案内してくださった日本の方が、日本による韓国への植民地拡大が国際法的に非合法であったことを強調していた。日韓両参加者で下関の朝鮮学校を訪問した。マイノリティーのための学校を日本政府がきちんと認可しないために朝鮮学校が差別に苦しんでいるという話を聴いた。校長先生たちは、韓国と朝鮮民主主義人民共和国が協力できないでいるために彼らの立場が弱められていると感じている。それゆえ平和運動におけるこの協働は、日本におけるマイノリティーの権利の向上、韓国と北朝鮮の関係の改善という役割にも広がっている。またこの協働によって日本の参加者たちは日本が過去に行った植民地政策という歴史から自分たちを区別して見ることができるし、韓国の参加者たちは、原発という名の核兵器の事故で苦しんでいる日本人たちにより深く共感することができるだろう。

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