ロヒンギャ:地球上で最も疎外された民族

安藤 勇 SJ
イエズス会社会司牧センタースタッフ
移民デスク担当)

  ロヒンギャは、ミャンマー西部のラカイン州に住むイスラム系民族グループです。仏教国であるミャンマーでは135もの民族が公認されていますが、ロヒンギャは民族として認められていません。ミャンマーの軍事政権は、1960年にはすでにロヒンギャの弾圧を始めていたと考えられており、1982年に国籍法が施行された際にも、彼らの国籍は否定されました。こうした悲劇的な運命は、1825年の英国のアラカン征服にさかのぼります。2015年の時点で、ロヒンギャの推定数はミャンマーで110万人、バングラデシュで30万人、近隣諸国には数千人以上いると思われます。

  ロヒンギャは、宗教的・政治的理由により逃れています。彼らはムスリムであるために自国で迫害に直面し、政治的には、政府からは「無国籍」と見なされています。

  ロヒンギャが直面している最大の課題は、飢餓と保護の脆弱さです。彼らは合法的に移動することができないので、基本的には仲介業者の助けを借りて移住します。仲介業者とは、彼らの密行を手配する人物です。過酷な行程をすべての人が生き残れるわけではありませんし、多くの人が後で精神的トラウマによって苦しみます。今年の8月に起きた武力衝突の結果、約50万人のロヒンギャがバングラデシュに避難し、難民キャンプでの悲惨な暮らしを余儀なくされました。彼らはミャンマーからもバングラデシュからも、「無国籍者」と見なされています。ヒューマン・ライツ・ウォッチの代表は、次のようなコメントをしています。「この地にある現実は想像以上に深刻です。…私はこれほどまでに踏みにじられ、破壊されたグループを見たことがありません。信じられないくらい壮絶です」。

  イエズス会社会司牧センターでは、インドネシアのキャンプに収容され、イエズス会難民サービス(JRS)に支援されているロヒンギャ難民のために、2015年に限定的な募金キャンペーンを開始しました。

  教皇フランシスコは、今年の11月下旬にミャンマーを訪問する予定です。うまくいけば、教皇の訪問はロヒンギャの状況の改善に役立つでしょう。それでもやはり、教皇の支援は遅すぎるかもしれません。

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