みんな同じ人間!兄弟!仲間さ!~キリスト者メーデー集会2017~

柳川 朋毅
イエズス会社会司牧センタースタッフ

  毎年、メーデーと労働者聖ヨゼフの日(5月1日)の時期に合わせ、「人間らしい生活と労働」を求めて集う「キリスト者メーデー集会」が、今年も4月29日に、東京で開催されました。2017年は「みんな同じ人間!兄弟!仲間さ!」というテーマで、特に移住労働者や有期・非正規雇用労働者のことを二人の講師から学び、労働者の連帯を祈りました。

 
  一人目の講師は、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)代表理事の鳥井一平さんです。オーバーステイの容認(1980年代)、日系労働者の導入(90年代)などによって、日本は歴史的に移住労働者を受け入れてきました。にもかかわらず、日本政府は「移民政策」という言葉を使うことを避け続け、外国人を労働“者”としてではなく、使い捨て可能な労働“力”として扱ってきました。その最たるものが、「外国人技能実習制度」です。技術移転や国際貢献といった建前とは裏腹に、実態としては目を覆いたくなるような深刻な人権侵害の温床となっています。

  そこで鳥井さんは、移民の存在なくしてこの社会は成り立たないのだという事実を直視し、労使対等原則が担保された多民族・多文化共生社会を目指した「まっとうな移民政策」を行うべきだと訴えました。

 
  二人目は、いくつかの大学で非常勤講師や客員研究員を兼任されている仁井田典子さんです。1990年代、フリーターやニートといった言葉が行政でも使われるようになった頃から、若者の雇用問題は、若者本人(個人)の責任であるという風潮が強まりました。法制度にもこうした考えは反映され、個人の責任や負担が増す一方で、労働者は分断されていっています。

  そうした中で仁井田さんは、自身も若者、女性、有期・非正規労働者である立場から、コミュニティ・ユニオンの可能性に着目しました。個人加盟の労働組合が繋がりや仲間を見出せる場として機能することで、労働者たちが孤立することなく、個々人が主体的に活動できるようになるというのです。

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