【JOC】人間らしい働き方を目指して

柳川 朋毅
イエズス会社会司牧センタースタッフ
東京JOC(カトリック青年労働者連盟)リーダー

  読者の皆さん、はじめまして。昨年より当センターのスタッフをしております、柳川と申します。今回は私が関わっている「JOC(ジョック)」という活動について、少しご紹介させていただきます。

  JOCというのは、今からおよそ100年前のベルギーで、ジョゼフ・カルデン神父(後の枢機卿)と数名の若者によって始まった運動です。当時、労働者の多く(特に女性や若者)は、過酷な、不当な労働条件の下で働いており、非人間的な生活を送っていました。その姿に心を痛めたカルデン神父は、働く若者の声に耳を傾け、彼らの現状をつぶさに見ました。そして、働く若者が人間としての尊厳を取り戻せるよう、勇気と希望をもって彼らと連帯していったのです。それがJOCという、働く若者の運動の始まりです。
  JOC運動の中で、ひとつの方法論が確立されていきました。それは①見る、②判断、③実行という三段階のプロセスです。まずは、働く若者の仕事や生活の現状(その原因や影響も含めて)をしっかりと「見る」ことからスタートします。次にその現状が、人間らしいものであるかどうかを「判断」します。そして最後に、一人ひとりが現状の中でできることを考え、それを「実行」に移していきます。この一連のプロセスは「生活と活動の見直し」と呼ばれ、JOCの中で最も基本的な活動になりました。
  JOC運動はその後、世界的な広がりを見せました。実は、中南米で起こった解放の神学や、カトリック教会に大きな変革をもたらした第二バチカン公会議にも、JOCは多大な影響を与えたのです。見る、判断、実行という三段階の方法論も、カトリック教会の社会教説によって採用されていきました。

  日本でも、今から60年以上前の1949年に、北九州の小倉でJOC運動が始められました。1960年代には日本中の小教区に広がりましたが、現在は全国に数か所の活動グループがある程度です。私は現在、東京のグループでリーダーを務めています。
  時代の流れと共に、働く若者を取り巻く環境は変わっていきますが、彼らの多くは依然として非人間的な状況に置かれています。現代の働く若者はまるで「奴隷」のように、あるいは「モノ」のように扱われ、人間としての尊厳を失っています。それはまさにキリスト者が看過できない「反福音的」な社会です。
  「働く若者は機械ではない、人間だ!」、「一人の小さな働く若者には、世界のすべての金銀よりも無限の価値がある!」という、カルデン神父の強い信念のもと、JOCでは一人ひとりの働く若者が人間らしい働き方、自分らしい生き方を送れるように、仲間たちと連帯していくのです。

JOC (1) (JOC100周年を記念して作成した横断幕)

※JOCはフランス語のJeunesse Ouvrière Chrétienneの略で、
 英語ではYCW(Young Christian Workers)と呼ばれています。

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      Eメール:joc-officeアットmepjapon.org
      ホームページ:http://ycw.jp

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