カトリック 世界のニュース(178)

国連人権委、日本にヘイトスピーチ取締まりを促す
  7/25, The Japan Times:国連人権委員会は7月24日、人種的優越や憎悪を呼びかけるすべての宣伝活動の禁止、および加害者への処罰を各国政府に呼びかけた。報告書の中で委員会は日本について、朝鮮・韓国人を含む国内少数派に対するヘイトスピーチなどの「広範囲にわたる人種差別的言説に対する懸念」を表明した。委員会は、「差別、敵意、暴力への扇動をかき立てるすべての宣伝を禁止し」、「容疑のかかる加害者を徹底的な調査のうえで起訴し、有罪と判明すれば適切な制裁をもって処罰する」よう日本政府に促す。国連はさらに、第二次世界大戦中に朝鮮・韓国などのアジア諸国の女性に性的奴隷行為を強制したことへの責任追及を全面的に受け入れるよう、日本に求めている。

教皇フランシスコ、中東、イラク、ウクライナの平和を呼びかける
news178_01  7/27, Jewish Telegraphic Agency:教皇フランシスコは7月27日、中東、イラク、ウクライナの平和を訴えた。教皇は翌日が第一次世界大戦の勃発100年目を迎えることを思い起こして、中東、イラク、ウクライナの「諸民族や指導者」に、神が「平和への道を決然と歩み、一つひとつの争いに対話・交渉への粘り強い努力と和解の力をもって向き合うための知恵と力を」与えてくだるようにと祈った。この知恵と力は、「特定の利益ではなく、共通善と一人ひとりのひとに対する尊重 に基づく」ものである。
  同じ頃、国際カリタスは、ガザ(パレスチナ)の人々への緊急支援の呼びかけを発表した。150万ドル規模に達する支援プログラムの第1弾として、カリタスによって4つの病院に、医療物資や医薬品と発電機のための燃料が提供される。また、2000家族分の食糧小包と、500家族分の毛布が支給される。

米国務省:2013年は信教の自由にとって暗黒の年
  7/29, Vatican Radio:信教の自由に関する米国務省2014年報告書は、広範囲におよぶ宗教的差別と宗教的少数派の国内難民化の事例によって、昨年が暗黒の一年であったと述べる。「地球上のほぼいたるところで、おびただしいキリスト者、イスラム教徒、ヒンズー教徒などの信仰者が、自分の信仰のゆえに家から強制的に追い出された。 …各地の宗教共同体は自らの伝統的・歴史的な住処から消滅しつつあり、地理的にも分散しつつある」。暴力、差別、嫌がらせを被りやすく、実際にこれらによく直面している宗教的共同体を保護しきれていない国として、報告書はシリア、スリランカ、エジプト、イラク、バングラデシュ、インドネシア、インド、中央アフリカ、ミャンマー、中国、ナイジェリアなどの国名を挙げている。

ベナン:親に奴隷として30 ユーロで売られる子どもたち――人身売買反対運動
news178_02  7/27, Agenzia Fides:アフリカ・ベナンのサレジオ修道会員が後援する「わたしは売り物じゃない」運動は、人身売買から子どもを守るために訴える――「貧困と家族の崩壊は、疑いなく子どもの人身売買の主要二原因です。これにはさらに、子どもたちと家族の教育の欠如、とくにアフリカ、アジア諸国における紛争や政治的不安定、また家族の抱える累積負債や人身売買業者が罰を受けないことなどが原因として加えられなければなりません」。ベナン第二の都市ポルト・ノボのドンボスコ・レセプションセンター所長、ゴメス神父(サレジオ会)は「私たちは親が約30 ユーロで売った子どもたちを迎え入れています…」と語る。
  不法な養子縁組、強制結婚、臓器売買の例を除いても、全世界で100 万人以上の子どもたちが、人身売買の犠牲者となっている。国連の統計によると、全人身売買犠牲者の27%が子どもであると確認されている。

中央アフリカ共和国:混乱の中での子どものための安全なスペース
  6/25, JRS News:イエズス会難民サービス(JRS) は、戦闘で壊滅状態となった町バンギ(中央アフリカ)の国内避難民地帯で暮らす子どもたちのために、安全なスペースを立ち上げている。中央アフリカ共和国は、反政府勢力Seleka が2013 年3 月バンギに侵攻して以来、分断状態となったままである。イスラム教徒を中心とする同反政府勢力は、F・ボジゼ大統領を追放後、広範囲にわたる人権侵害、破壊、略奪行為を行なってきた。キリスト者民兵組織anti-Balaka がこれに応酬し、以来民間人は、全国規模で起こっている暴力の応酬合戦に巻き込まれている。 しかし今年6 月、JRS は大規模な政情不安にもかかわらず、子どもたちが学校に戻って、中断した年間カリキュラムを最後までやり遂げることを目指すプロジェクトを26 の学校で立ち上げた。危険と飢餓のせいで両親が子どもを学校に送りだせなかった事情があったので、学校給食がこのプロジェクトの「呼びもの」となった。news178_03

村山 兵衛 SJ(神学生)


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