「憲法9条にノーベル平和賞を」正式受理!…推薦の手紙

憲法9条を70年近く保持している「日本国民」が2014年度ノーベル平和賞候補にノミネートされました!

 「憲法9条にノーベル平和賞を」という夢の実現をめざしている鷹巣直美さん(座間市の主婦)を発起人とする実行委員会(事務局・相模原市)は、ノルウェー・オスロのノーベル委員会から「推薦を受理した」との連絡を受けました。 ノーベル賞の受賞者は、人物か団体に限られ、憲法自体が受賞することはできないということが分かって、鷹巣さんは受賞対象者を「日本国民」にしました。 2013年5月に始められたこの運動に対して、すでに4万5千人以上の署名が集まっているそうです。

(参照:http://nobel-peace-prize-for-article-9.blogspot.jp/2014/03/blog-post_4927.html

 イエズス会社会司牧センターの光延は大学教員であるので、1月末のしめきり日に推薦の手紙を書きました(ノーベル賞に推薦できるのは、国会議員、大学教授、平和研究所所長、過去の受賞者らだそうです)。そして4月11日に、オスロのノーベル委員会から推薦受理との返事が届きました。今年度の候補は278件とのことです。道はまだ遠いですが、ノーベル平和賞受賞に向けて希望し続けたいです!

 光延がノーベル委員会に送った推薦の手紙は、以下の通りです。

 

関係のみなさまへ

 私は、第2次世界大戦終了の後、日本国憲法第9条をたいせつに守ってきた日本の市民たちを、大きな喜びをもってノーベル平和賞候補に推薦いたします。

 日本国憲法第9条の条文は、以下の通りです。

  1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

私が、日本の市民がノーベル平和賞候補に値すると思う理由は以下の通りです。

 日本国憲法9条は、歴史上、多くの悲惨な戦争を繰り返してきた人類にとって、その文明が到達すべき目標を示していると思います。それは、私たち人間が今実現すべき世界のゴールです。
 日本は、明治以後、アジアへの暴虐な侵略により、多くの人々の人権を踏みにじり、無数のかけがえのないいのちを奪ってきました。その結果として、第2次世界大戦の敗北にあたっては、人間が作り出した最も残虐な兵器である原爆を投下されました。こうした歴史からすれば、日本国憲法第9条は、歴史上の数えきれない悲劇と犠牲を代価として、人類がようやく手にすることのできた「聖なる宝」だといえます。
 実際、日本は第2次世界大戦以後の68年間、戦争で他国民を誰一人殺すことなく、また一人の自国民も死なせることがありませんでした。自衛隊は存在しますが、それは「最小限の自衛の実力」と規定されています。こうした国が世界に存在することにより、日本は世界平和に貢献してきたといえるでしょう。
 しかしながら、現在、日本には、現行の平和憲法をやめ、戦争のできる国に変えようとする政権の危険な企みが進んでいます。すなわち、憲法9条を「解釈」で真逆の意味に変えてしまう「解釈改憲」、また「特別秘密法」等の強行的施行により軍事国家を形成しようとする乱暴な政治が行われています。そして「日本軍慰安婦」問題への対応に示される、人権感覚に欠けた指導者の歴史認識のゆえに、アジアをはじめ国際社会からも孤立しつつあります。
  こうした危機的な状勢において、日本国民がもう一度憲法9条を生き返らせ、平和・人権・国民の主権などの価値を守り通すことは、全世界にとって非常に重要なことだと私は確信します。
 すなわち、憲法9条は、世界の平和な未来を築いていくための、輝かしい希望の旗印となるものです。
 以上から私は、憲法9条を保ち、養い、育ててきた日本の市民は、ノーベル平和賞候補に値すると思うのであります。

 憲法9条を持ち続けたいというのは、多くの日本の市民の望みです。憲法9条を維持し活かそうとする「9条の会」というグループは、すでに日本全国に7500以上も存在します。
 「憲法9条にノーベル平和賞を」という運動は以前にもありましたが、しかし残念なことに、これまで推薦が受理されたことはありません。
 このたびの試みは、一人の若いお母さんの発意から始まりました。彼女は学生時代に留学を経験し、それ以来、紛争や難民の問題とかかわりをもち、そこで日本国憲法第9条が現代世界に与えるアッピール力と価値を新たに発見してきました。そして、憲法9条を世界と日本の平和の灯にしたいと思うようになったとのことです。多くの人々が彼女の「憲法9条にノーベル平和賞を」とのアイディアに賛同し、このキャンペーンを推し進める活動に協力しております。

 それゆえ、私はノーベル賞委員会にあらためてお願いいたします。どうか諸国民の平和という人間の文明の最終目標を明るく照らし出す憲法9条と、それを守っている日本の市民にノーベル平和賞を授与してください。

 

参考:日本国憲法前文
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

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