カトリック世界のニュース(176)

教皇と米オバマ大統領 ― 信教の自由、生命問題、移民について会合
pope  3月27日 (CNS) : 教皇フランシスコは3月27日にバチカンで、就任以来初めてオバマ米大統領を迎え入れた。議論はカトリック教会とホワイトハウスとが緊張関係にある諸分野にわたった。バチカンの声明によると50分間の会議の中で両首脳は、「移民制度改革の問題および信教の自由、生命、良心的兵役拒否の権利行使といった米国教会に特に関連のある問題」を議論した。

米国司教たち、国境でミサ ― 15年間で6,000人の移住者が死亡
  4月2日 (Agenzia Fides) : 「このミサは、(米国とメキシコの国境が真ん中に通る町)ノガレスの国境壁の近くだけで亡くなった6,000人に上る移住者と、1,100万人の移住許可証なき人々、および両親が蒸発した30,000人の孤児たちのためです。この近くの砂漠では、合衆国への入国を試みた400体の男女と子どもの遺体が発見されました」。この荒々しい表現は、ボストン大司教S•P・オマリー枢機卿(OFM)が4月1日のミサの中で表明したものである。同枢機卿と8人の司教たちはアリゾナ州ノガレスの砂漠を歩いて祈りながら、米国入国を試みる「痛々しい旅路」で死亡した数千もの中米移民を思い起こした。オマリー枢機卿の説教は、米国が移民の国であったこと、彼らの祖先の犠牲が「米国の成功の秘訣だった」ことを強調している。

教皇、ルワンダ司教へ「和解の道具となるように」
  4月3日 (Vatican Radio) : 教皇フランシスコは4月3日、教皇庁定例訪問で来たルワンダ司教たちを迎えた。バチカンでの謁見講話で教皇は、同国の大虐殺とその20年を振り返った。94年4月6日に始まった3ヶ月に及ぶ大暴乱で少なくとも80万のルワンダ人が殺害されている。教皇は宗教、民族、政治的所属を問わず、すべての犠牲者と遺族および全ルワンダ人のために祈りをささげ、さらに癒しと和解へ向けて粘り強く身を投じる司教たちを激励した。教皇は、「福音的価値のなかで子どもや若者がとくに神のみことばに親しみを抱くよう養成することは、教会の義務なのです。みことばは彼らの道しるべとなるのです」と語った。

ヘイトスピーチの不安、中央アフリカで
  4月5日(Vatican Radio) : 中央アフリカ共和国内の反政府組織Selekaに味方するチャド政府は、中央アフリカから軍の撤退を決定した。アフリカ和平解決策の一部になるはずだったものが、この1週間でチャド軍の手により死者30名と負傷者300名が出るという結末に終わった後で、この決定は行なわれた。
  中央アフリカに関する国際調査委員会のベルナール•ムナ理事は、国内のヘイトスピーチ(憎悪表現)問題を指摘し、次のように述べた。「気づいたのは、いっそうひどいことに、暴力が続いていることです。毎日人が殺されています。私が気づいた2つ目のことは、憎悪の言葉の拡大です。[中略]他の宗教や民族の人々を誹謗中傷し、名前をつけ、同胞の民に対して祖国に相応しくない、よそへ行けと言うとき、これは常に大量虐殺の始まりなのです」。

暴動から2ヶ月後に司教団が警告:ベネズエラ政府の「全体主義」傾向を批判
  4月3日 (Agenzia Fides) : ベネズエラ・カトリック司教団は、全体主義的支配体制をめざす政府を非難し、声明を発表した。声明は「ベネズエラが経験している危機の根本的な原因、つまり背後に全体主義統治の強制を隠す通称「祖国治安計画」を目論むニコラ•マドゥロ大統領政府の要求」を強調している。

紛争の火種となる資源のヨーロッパ持ち込み規制法案の不徹底――活動家が警告
  3月5日 (JRS News) : 人権活動家たちによると、鉱物調達に伴う責任に関して欧州委員会が提案した法律が不十分なため、欧州企業が鉱物を購入する際の資金調達をめぐる争いや人権侵害が後を絶たず、法案は期待外れなものとなっている。EUに拠点を置く広範囲の企業に供給網監視(これは「相当な注意due diligence」として知られる)を求める厳格な法制度を敷く代わりに、3月5日の欧州congo  委員会は、ヨーロッパ市場へ鉱物(加工品と未加工品)を輸入する企業にのみ適用される自主的措置を発表しただけであった。同法案は錫、タンタル、タングステン、金の分野の企業を対象としているが、活動家たちは、同委員会の提案では欧州企業の大半が天然資源を調達している方法に対してごくわずかな抑止力しかもたらさないと警告している。
  鉱物の違法採収によって死者、破壊、住民立退きが引き起こされている。紛争地域から採られた金属はコンピュータ、電話、電球、自動車などの工業製品となって、日常的にEUに入っている。
  人権活動家たちはさらに、欧州委員会の提案が他の天然資源に対処しておらず4種の鉱物に限定していることへの失望感を表明している。60以上の国際NGOが、昨年発表した論文の中で、国連と経済協力開発機構(OECD)によって設定された既存の「相当な注意」の基準に基づく厳格な法制度の必要性を指摘している。

JRSカンボジアによる「世界宗教間調和週間」
  3月28日 (JRS News) : イエズス会難民サービス(JRS)カンボジアは2月8日、ミンドル・メッタ・カルナ(カンボジア)で世界宗教間調和週間 (World Interfaith Harmony Week) を記念する宗教間交流イベントを行なった。イベントには、とくに最も貧しくて排斥された人々を持続的に支援する正義、平和、開発のための協働を望む諸宗教の人々が集まった。
  『木を植える―環境に配慮する人々の物語』“Plant a Tree: Stories of People Caring for Environment”と題したJRSの小冊子の中で、E・Jurgensen氏は、「植樹活動によって、実質的かつ象徴的に、持続的な発展などの共通目的のためにさまざまな宗教団体の人々が集まります」と語る。カンボジア人は皆信仰の違いを越えて森林伐採の悪影響を受けており、地域社会で、宗教団体と最高指導者の間で、信仰の垣根を越えた協働に取りかかる必要がある。

アルン デソーザ SJ(司祭)
村山 兵衛 SJ(神学生)

 

 

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