カトリック 世界のニュース(174)

シリア紛争最大のキリスト者虐殺
 11月4日(CWN):シリア正教会S・ブトロス・アルネメ大主教によると、シリア中西部の町サダドで45人のキリスト者が反乱軍6に虐殺された。イスラム反政府勢力は、10月21日に町に入ったが、一週間後に町は政府軍に掌握された。「サダドで起こったことは、過去二年半で最も深刻かつ重大なシリアのキリスト者虐殺です」と、同主教はFides通信に語っている。 「45人の罪なき民間人が理由もなく殉教を強いらされました。そのうち何人かは女性と子どもたちで、多くの人が集団墓地に投げ入れられました。他の民間人も恐怖に脅かされており、30人が負傷、10人が行方不明です」。

北朝鮮が80人を公開処刑
 11月12日(ワシントン•タイムズ):韓国の中央日報によると、北朝鮮最高指導者金正恩は、11月3日に80人を公開処刑させた。これは父の死後に権力を継承して以来、初の公開処刑である。北朝鮮の7都市で、韓国製のビデオや「ポルノ」を観たり、聖書を保有していた人々が殺された。同紙によると、約10人が市内で殺された。北朝鮮政権は、キリスト教のビデオや聖書を「ポルノ」としばしば呼び、その所持を厳禁しているとされる。

司教団、「ガーナに新しい福音宣教が必要」
 アクラ、11月19日(Fides Agency):ガーナの司教団は、「社会・文化・経済状況および政治生活がイエス•キリストとの深い出会いを非常に困難なものにしている」同国での、「新しい福音宣教」の必要性を呼びかけている。ガーナのカトリック司教協議会は「ガーナが平和な国であることは経済水準に現われており、またガーナはとても宗教的な国です」と主張している。司教団は、国民レベルで礼拝や祈祷に積極的に参加している例を挙げている。

アフリカのエイズ対策に献身する教会の30年
 ローマ、11月20日 (Fides Agency):ボランティアやカトリック教会の諸機関の、アフリカでHIV被害拡大の影響を受けた女性、男性、子どもたちのために取り組んできた30年の経験が、一冊の本にまとめられた(『エイズ30年全書―アフリカにおけるHIV感染の信仰に基づく省察』)。同書はエイズ患者のための活動の成功と苦闘の記録であり、世界的に流行するこの病の衝撃と、人々や地域社会の実情に関する多くの物語がまとめられている。発行はアフリカイエズス会エイズ対策ネットワーク (AJAN)。同書は文化的、倫理的な問題も論じ、地球規模の対応の必要性を強調している。

上昇の一途をたどるイラクのキリスト者移民数
 バグダッド、11月21日(Zenit.org):カルデア派カトリック総大司教ルイス•ラファエルI世・サコは、日々行なわれる襲撃と爆撃が多くの移民を生んでいる状況に際して、キリスト者にイラクにとどまるよう呼びかけている。仏通信 (AFP) は、「2008年の僅かな治安改善後かすかに現われた楽観主義は、今年の流血事件の急増により破壊された」と報告している。同総大司教は、すべてが攻撃の標的でなかったとはいえ、米主導の侵攻以来10年間で61もの教会が攻撃を受け、1000人以上のキリスト者が暴力によって殺された、と述べる。

教皇の新しい使徒的勧告「福音の喜び」
 バチカン、11月26/27日 (Fides/Zenit):教皇フラン シスコは信仰年の閉幕に際して、新しい福音宣教を主 題とした世界代表司教会議の実りとなる新しい使徒 的勧告「福音の喜びEvangelii gaudium」を発布した。 同勧告は、a) 宣教における教会の刷新、b) 司牧従事 者が直面する誘惑、c) 福音宣教者として神の民全 体、d) 説教の重要性、e) 貧しい人々の社会への包 摂、f) 社会における平和と対話、g) 宣教の霊的な動 機づけ、を論じる。  教皇は、ばくち的な投機や広範な汚職や利己的な脱税が横行する市場の自律性の危険(56)を指摘し、司牧従事者に襲う誘惑(77)として個人主義や、アイデンティティ危機、冷めた情熱(78)について論じる。また、宣教敗北主義に警戒し(84)、キリスト者が希望のしるしになって(86)、tenderness(温かく情け深い心)による革命をもたらす(88)よう促している。

バチカン、未成年者保護のための委員会 7
 バチカン、12月6日(L’Osservatore Romano):教皇フランシスコは、子どもの保護や虐待被害者への司牧的ケアへの教皇庁の取り組みにおいて、教皇自らを補佐する目的で、未成年者保護のための委員会を設立することを決定した。この決定は、枢機卿評議会が出した提案を受け入れた教皇によって、「前教皇ベネディクト16世が行ったラインに沿って決然と」続行するためになされた。

中央アフリカ共和国で集団暴力と民間人に迫る脅威
 ワシントンDC、11月1日 (JRS Dispatches):イエズス会難民サービスなどの多くのNGOは、民間人を保護しこれ以上の残虐行為を防ぐために、中央アフリカ共和国で迅速な行動がとられるよう国際社会に呼びかけている。以下は、悪化する人道的状況および民間人への絶えない暴力の主な徴候である。 1. かつて反乱軍主導だった攻撃は現在、民族的、宗派的な様相を帯びつつある。 2. 中央アフリカ国内で40万人に上る国内避難民。国外に逃れた22万人の難民のうち、6.5万人は、最近の紛争の結果によるもの。 3. 160万人以上の子どもや家族に影響を与える大規模な食糧不足。 4. 蔓延する婦女暴行、無謀な殺人、誘拐、身体切断などの虐待、そして元反乱軍連合Selekaや他の武装勢力による村の略奪。 5. 子供、特に女子への様々な性暴力と性差に基づく暴力の蔓延。 6. 恐怖と報復の風潮に起因する新たな反乱民兵の誕生。数百人の武装した若者も参加しているが、その多くは強制的な徴兵に基づく。 7. 首都バンギ圏外で国連の存在感が不足し、安全性と保護が不十分なため人道的支援を訴える報道に大きな格差が生じている。

 ローマ、12月4日 (Fides Agency):国8際カリタスと中央アフリカ共和国内のカリタス・スタッフによってローマで12月4日に開催された会議で、同国の劇的な人道危機が焦点になる。

 ローマ、12月6日 (Vatican Radio):首都で100人近くの死者を出した衝突(12/5)の翌日、暴力を鎮圧するため、フランス軍が中央アフリカ共和国に現地入りした。6日夜の衝突では、これ以上の死亡が報告されている。5日の国連投票で軍隊に国内安定化の任務が認められると、仏は数時間以内に援軍輸送を開始。仏当局者は、今回の軍隊派遣の目的は首都バンギの最低限の治安回復と、アフリカ人主導の軍隊の支援にあると主張している。

アルン デソーザ SJ(司祭)
村山 兵衛 SJ(神学生)

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