タイ:移民労働者は、継続的な困難に直面している

[ここでは、タイにいる約150万人の非正規ミャンマー人移民労働者の状況について、最近の報告を取り上げます。執筆者は、タイのJRS(イエズス会難民サービス)の移民支援担当者です。]

社会は、移民と難民に対して、新しい考え方を発展させなければならない。
  バンコク、2013年3月7日 ―― 先月、タイの推計200万人の非正規移民労働者は、4か月の滞在の延長を認められた。そして、2013年4月までに、タイのビザと労働許可証の登録手続きをするため、彼らは自国の国籍証明を取得する必要がある。
  JRSタイの移民支援担当であるKohnwilai Teppunkoonngam氏によると、このことは当分の間は歓迎すべき処置であるが、新しい期限が過ぎた後、非正規移民労働者は、現在と同じように、逮捕と強制送還という危機に直面することになるだろう。
  JRSホスピタリティ報告書にあるとおり、「社会は移民と難民に対して、新しい考え方を発展させなければならない:保護と支援を必要としている彼らはそれを受けるべきである」と、JRSは信じる。
  人口の70%がミャンマーの強制的に移民させられた人々であるメーソトでのプログラムは、アドボカシー、労働権の教育、そして生計活動の機会の提供を含んでいる。
  4月以降、期限が再び延長されない可能性が高いので、既にタイに滞在する必要な書類を持っていない移民労働者は、登録の手続きができないかもしれない。
  Teppunkoonngam氏によると、その代り、タイ政府は、2002年-2003年の間に署名した二国間協定の下で、ラオス、カンボジア、そしてミャンマーに住んでいる新しい労働者を募集する計画をしている。

国籍証明と登録の基本
 過去、活動と法的権利のより大きい自由を許可する、一時的なパスポートを移民に提供する国籍証明は、高い費用がかかった。彼らの平均日当は300バーツ(10ドル)足らずであるのに、タイの地方紙によると、移民はブローカーに、15,000バーツ(500ドル)まで払った。
  ナコーンパトム県にあるマヒドン大学移民センターの研究員Andy Hall氏によると、2011年、広報またはそのプロセスの理解の乏しさのため、そして長々とした混乱させる手続きの、複雑で官僚的な性格のため、登録の最初の締め切り前に、多くの移民は登録することができなかった。
  しかし2週間前、タイ政府は、4月の期限までに、国籍証明をより入手可能で利用しやすくする、タイのいたるところにある国籍証明書を取得するための、いくつかのワンストップサービスセンターの開設を発表した。
  タイの国際移住機関(IOM)によると、新しい登録には、費用が合計で、9,000バーツ(およそ290ドル)かかるが、以前の費用の半分よりやや高い程度だという。
  Teppunkoonngam氏は、「ワンストップセンターは、移民に対して、国籍証明の取得をずっとし易くするかもしれない」と語った。そして進行中の登録を許可するために、もっと永続的な処置を据える必要がある、と付け足した。
  チェンマイにあるアドボカシーNGOであるMAP財団の常任理事Jackie Pollock氏は、「書類にすることは、必ずしも仕事の状況を改善するものではないが、汚職を減らし、差別を廃止するのに多くの機会を提供する」と言う。

過小評価されている移民の労働
  過去20年間、タイは、非正規の移民労働者を搾取や虐待から保護することができなかった諸政策に対し、ますます増えるたくさんの精密な調査を受けてきた。
移民の労働は、タイの一年のGDPの推計4%に貢献しているにもかかわらず、特別に高い登録費用と、労働保護基準の執行の欠如によって、移民労働者は、傷つけられやすい状態に置かれ続けている。
JRSアジア太平洋地域の責任者Bambang神父は、「人間を安い移民労働の枠にはめることは、彼らの価値を、ただの経済発展、あるいはもっと悪くは、利益の源泉に過ぎないものとして、減少させてしまう」と語った。
MAP財団によると、30万人位が、現在、登録中だが、推計200万人以上の移民労働者がいまだそのプロセスから外れている。
Pollock氏は、「彼らはまだ、なんとかタイで仕事を見つけ、滞在しようとしている」と語った。イエズス会のBambang神父は、「付き随うことで、私たちは移民が、彼らの身の上話を明らかにするのに協力したい」と語った。「それが彼らへの関心を高め、彼らの声を強くする一つの道なのだ」と彼はつけ加えた。

未返済借金は人身売買の危険を増大させる
  以前の秩序立ての過程の下で、平均賃金は一日300バーツ(10ドル)足らずなので、日々の稼ぎの半分を今後の使用のためにしまっておく移民は、登録するお金ができるのに、少なくとも5か月間は貯めなければならない。
  このことが、莫大な数の非正規移民労働者が2011年に登録できなかった多くの理由の一つだ。Hall氏は、「登録には、非常に高い費用がかかり、それは借金を引き起こす」と語った。
  Teppunkoonngam氏によると、借金の未返済、つまり親類や友達やブローカー、そして雇用者からさえお金を借りることは、非合法な搾取と人身売買の被害を増大させる。
  Teppunkoonngam氏は、「ワンストップセンターは短期的には国籍証明の手段を改善するが、両方のドアを開けておく代わりに、こちら側のドアを永続的に閉めてしまうことは、長期的な解決にはならないかもしれない」と語った。そしてまたタイが、1990年の国際条約(「移民労働者条約」)に署名することを勧めている。
(ダナ マックレーン  JRSアジアパシフィック報道担当)
(編集:安藤勇 SJ、イエズス会社会司牧センター)

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