<京浜だより32>「2009命を守るための緊急アピール」後の動き

阿部 慶太(フランシスコ会)

  去年からの不況で、派遣社員や外国人労働者の解雇が相次ぎ、完全失業率は2月には4.4%に達しました。突然の生活苦に陥るだけでなく仕事と住居を同時に 失う人々の増加の現状に対して、1月13日に、日本カトリック司教団社会司教委員会は「2009命を守るための緊急アピール」を行い、各修道会、教会に協 力と支援を呼び掛けました。
  この呼びかけに対して、各教区、小教区、修道会などで、具体的に何ができるのかを検討する動きがありました。その結果、失業者の中でも外国人労働者への支援や、野宿を余儀なくされた人々への炊き出し、夜回り、医療・法律相談活動などを行う動きが見られました。
  たとえば、横浜教区の静岡県の西部地区では日系ブラジル人や滞日外国人労働者への支援が、去年の暮れから行われ現在も継続中です。浜松や磐田周辺にある 工場の雇用契約の打ち切りが原因です。取り組みが早かったのは、浜松周辺に滞日外国人が多く、以前から教会もスペイン語のミサやカテケジスなどのケアをし てきた関係で、母国語での対応ができ、相談しやすい場所として教会の存在であったのが一因です。
  4月26日付の「カトリック新聞」には、さいたま教区の飯能教会の南米からの移住者への土曜学校教会グループの取り組みが紹介されていましたが、それに よると、昨年から3月までの間に支援する家族数が100家族から150家族に増加したことや、生活支援のほかに医療支援やカウンセリングなどの精神的な支 援も始まっているということです。
  4月26日付の「カトリック新聞」には、さいたま教区の飯能教会の南米からの移住者への土曜学校教会グループの取り組みが紹介されていましたが、それに よると、昨年から3月までの間に支援する家族数が100家族から150家族に増加したことや、生活支援のほかに医療支援やカウンセリングなどの精神的な支 援も始まっているということです。
  日本カトリック司教団の社会司教委員会による支援の要請の中に、教会施設の空いている空間の利用などの提案もありますが、具体的に運営が難しいケースが 多いといえます。理由は、期間を限定すれば利用が可能でも、長期化した場合、対応できないケースの施設が多いからです。先に紹介した二つの教区のケースの ようにいかないところのほうが多いのです。
  本来は行政がこうした問題に迅速に対応することができるならば良いのでしょうが、後手に回る行政の対応を待ちきれずに起こったのがこうしたケースです。

  こうしたケースばかりでなく同様の対応がさまざまな市民団体によって行われています。
  たとえば、こうした不況による解雇者支援の中で忘れられていますが、景気の減退以前から釜ヶ崎や山谷などの路上生活を余儀なくされてきた人々への取り組 みがあります。こうした失業者に対する取り組みの中には、新たに仕事をなくした人々への取り組みと共通する部分や支援の方法論の面で参考になる部分があります。
  関係者の中には、こうした生活基盤を失った人々に対する支援を教会関係だけで行うのではなく、どこに行けば行政サイドと相談でき、適切な支援が受けられ るかという正確な情報を交換したり協力することも今後の支援のために大切な部分であり、教会がさまざまな市民グループと交流するチャンスだ、という意見も あります。
  「命を守るための緊急アピール」後の動きは、教会がさまざまな立場の人とどのように協力ができるのか、も問われているのです。

<支援団体とその他の情報のご紹介>

全国のホームレス支援団体HP一覧表
http://www.asahi-net.or.jp/
~KG8H-STU/sien-danntai.html/

ホームレス支援全国ネットワーク
http://www.homeless-net.org/

生きる支援の総合検索サイト-ライフリンクDB
日本中にある多種多様な「生きるための支援策」の中から、それぞれのニーズに合ったものを探し出せるようなサイト。
http://lifelink-db.org/

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