【 書 評 】原発のウソ』・『茶色の朝』

『原発のウソ』
小出裕章著/扶桑社新書/2011年/740円+税


原子力は廃絶する以外に未来への道はないと、生涯をかけて訴えつづけてきた荒れ野の声、小出裕章さんの渾身の書。3・11以後の書きおろしを含めて、私た ちに原子力産業の闇が、いかにウソで満ち満ちているかを暴いて行きます。「“安全な被曝量”は存在しない!」「原発を止めても電力は足りる!」「大量の二 酸化炭素を出す原子力産業」「地球を温めつづける原発」『今まで日本の原発が生み出した「死の灰」は広島原発の80万発分』など。そのわかりやすく適切な 説明は、私たちの目からウロコを落として行ってくれます。この『原発のウソ』は、リーフレット、『原子力発電は“温暖化”防止の切り札ではない!地球上の 生命環境にとって最悪の選択・・』を補う必読の書として、特に推薦したいと思います。

 

『茶色の朝』
フランク パヴロフ著/大月書店/高橋 哲哉 (メッセージ)/2003年/1000円+税

ふつうの人々の平和な日々が、「茶色以外の色を認めない」という“茶色党”の施策によって、次第に茶色一色に染められて行き、気がついたときには、主人公の家のドアをノックする殺害と逮捕の連中を迎える「茶色の朝」になっていたという寓話の絵本である。
この本は2003年のフランスで、極右全体主義政権の誕生を阻止する静かな力としてベストセラーになり、いまや国境をこえて世界中で愛読されている。
3・11以後の重要な歴史の曲がり角にあって、原発を終わらせようと尽力する日本の民衆に、「あきらめないで」「思考停止をしないで」「勇気をもって」 原発のマフィアの闇の力「茶色の朝」に抵抗していくように、招いてやまない本なのです。クリスマスの贈り物としても、推薦したいと思います。

 (清水 靖子)

Comments are closed.